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entが目指すもの。家族から、まちへ。価値を育てる家。
以前、このブログで「ent」という名前に込めた想いについて書きました。
人と人との「縁」をつなぎ、その土地に根付き、いつか家族にとってかけがえのない「ゆかりの場所」になってほしい。
今回はそこからもう一歩踏み込んで、entがこれからどんな住まいをつくり、どんな風景を未来へ残していきたいのかを書いてみたいと思います。
entは、ほっとハウス長谷川建築から生まれたハイグレードブランドです。
けれど、私たちが考える「上質」とは、豪華な設備や高価なものを集めることではありません。
家族が安心して暮らせること。
自然素材に触れながら心穏やかに過ごせること。
何十年先も愛着を持ち続けられること。
そして、その家が建つことで、まちの風景まで少し豊かになること。
そこまで考えるのがentの家づくりです。
その考えを形にした一つが、私自身の住まいでもある「ent」です。
地元三重に残る昔ながらの瓦長屋。
人口減少や古家の老朽化によって、その土地らしい景色が少しずつ失われていく中で、新しい住宅を建てることが、昔から続いてきた風景を途切れさせる理由にはしたくありませんでした。
そこで瓦長屋の佇まいをそのまま再現するのではなく、現代の暮らしに合わせて再解釈しました。
一文字葺きの瓦、職人の手仕事による左官壁、三重の杉。
地域の風景や素材、職人の技術を受け継ぎながら、断熱等級7(UA値0.26)、耐震等級3、ダブル断熱、制振、屋根の三重防水・二重通気など、これからの時代に必要な性能と耐久性を組み合わせています。
「昔の良さ」と「これからの暮らし」。
どちらかを選ぶのではなく、両方を未来へつなげたいと考えています。
そしてentが大切にしたいのは、敷地の中だけで完結する家づくりではありません。
家の前で近所の方が足を止めて話をする。
季節になれば人が集まり、一緒に花を眺める。
子どもたちの記憶に「あの家のある風景」が残っていく。
私たちが考えるランドマークとは、奇抜で目立つ建築ではなく、地域の人から愛され、いつしかそのまちの風景の一部になっている建築です。
一軒の住宅は家族の財産であると同時に、何十年とその場所に存在し続ける、まちの風景でもあります。
だからこそ、三重の木を使い、三重の職人とつくり、地域の中でお金や技術、想いが循環していくことも大切にしたい。
家族のためにつくった一軒の家が、地域の産業を支え、人との縁を生み、次の世代へ風景や文化を残していく。
住宅には、そんな“小さな社会資本”としての可能性があると考えています。
自然素材も同じです。
三重の杉やスイス漆喰、木製ドアは、完成した日が一番美しいのではなく、住む人と一緒に歳を重ねながら表情を深めていきます。
子どもが成長し、庭の木が大きくなり、家にも少しずつ家族の時間が刻まれていく。
その変化を劣化ではなく「経年美化」として楽しめる住まいでありたい。
10年後、30年後、50年後。
「この家で良かった」だけではなく、
「この家が、この場所にあって良かった。」
家族からも、地域の人からも、そう思ってもらえる建築を残したい。
時間が経つほど、好きになる家。
そして、時間が経つほど、まちに愛される家。
人と家、家とまち、そして現在と未来を「縁」でつないでいく。
それが、entの目指す家づくりです。
今回の文章で、entのブランドとして特に大切にしたいのが、
「この家で良かった」から「この家が、この場所にあって良かった」へ。
という考え方です。
前者は住む人への価値、後者は地域への価値です。
そして「財産としての資産価値」「経年美化」「地域材」「職人」「ランドマーク」「縁」が、この一つの思想につながります。
家は、人生の「帰る場所」になる。
家づくりをしていると、時々考えることがあります。
「家とは、何のためにあるのだろう。」
雨や風をしのぐため。
快適に暮らすため。
もちろんそれも大切です。
でも私は、それだけではないと思っています。家とは、人が笑い、泣き、成長し、たくさんの思い出を積み重ねていく場所。そしていつしか、「帰りたい」と思える心の拠り所になっていく場所です。
私たちが「ent」という名前に込めたのは、そんな想いでした。
「ent」の語源は、「縁」。
家族との縁。
地域との縁。
人と人との縁。
一つの建物がきっかけとなって、新しい出会いが生まれ、地域とのつながりが育まれ、その場所が住む人にとってかけがえのない存在になってほしい。そんな願いを込めています。
建物は、完成した瞬間がゴールではありません。季節を重ねるたびに庭の木が大きくなり、子どもたちが成長し、家族の思い出が少しずつ増えていく。
何十年という時間を経て、その家は「住まい」から「人生の一部」へと変わっていきます。だから私たちは、見た目の美しさだけではなく、目に見えない部分にもこだわります。
地震から家族を守る構造。
夏は涼しく、冬は暖かく過ごせる性能。
年月が経っても味わいを深める素材。
長く安心して暮らせる住まいだからこそ、その場所に愛着が生まれ、本当の意味で「縁」が育っていくと信じています。
私は大工として11年以上現場に立ち、多くのご家族の住まいづくりに携わってきました。
その経験を通して感じるのは、家づくりは建物を完成させる仕事ではなく、ご家族の未来を預かる仕事だということです。
だから設計では、太陽の光や風の流れまで考え、大工としては見えなくなる部分まで丁寧に手をかけます。
10年後も、30年後も、50年後も。
「あの時、この家を建てて良かった。」
そう思っていただけることが、私たちにとって何よりの喜びです。
家は、建物ではありません。
人と人をつなぎ、暮らしを育み、心が帰る場所。
これからも一棟一棟にそんな想いを込めながら、この地域に「縁」が生まれる家づくりを続けていきたいと思います。
【私たちがグッドデザイン賞に応募した理由】
このたび、私たちが設計・施工した「ent」を、グッドデザイン賞へ応募しました。
結果はまだ分かりません。
ですが、今回の応募は「賞を取りたい」という気持ちだけではありませんでした。
私たちが日頃から大切にしている家づくりの考え方を、多くの方に知っていただくための一歩として応募を決めました。
家は、ただ新しく建てるものではないと思っています。
そこには、その土地の歴史があり、人とのつながりがあり、家族の思い出が積み重なっていきます。
私たちの地元・三重には、昔ながらの瓦屋根が美しい町並みが今も残っています。
しかし一方で、空き家の増加や人口減少により、その風景や地域のつながりが少しずつ失われつつあります。
「新しい家を建てることで、地域の風景を未来へつなぐことはできないだろうか。」
そんな想いから生まれたのが、「ent」です。
瓦屋根の長屋を現代の暮らしに合わせて再解釈し、三重県産の木材を使い、地元の職人さんと一緒につくり上げました。
「ent」には、「縁」という意味を込めています。
家族との縁。
地域との縁。
人と人との縁。
家は暮らすための箱ではなく、人とのつながりを育む場所であってほしい。
そんな願いを込めています。
完成してから嬉しかったことがあります。
家の前で近所の方が立ち止まって話をしたり、紅葉の季節には自然と人が集まったり。
住宅でありながら、地域の皆さんが気軽に立ち寄れる場所になり始めています。
その光景を見たとき、「この家を建てて本当に良かった」と心から思いました。
私たちは創業以来58年間、地域密着の”町医者大工工務店”として、新築だけでなく修繕や住まいの困りごとにも向き合ってきました。
建物を建てることが仕事ではありません。
その先にある暮らしや、人とのつながりを守ることこそが、私たちの役目だと考えています。
今回のグッドデザイン賞への応募も、その想いを形にした挑戦です。
受賞という結果ももちろん嬉しいことですが、それ以上に、この家づくりの考え方に共感してくださる方が一人でも増えることを願っています。
これからも地域に寄り添いながら、この場所だからこそ生まれる暮らしを、一棟一棟大切に届けていきたいと思います。
新建ハウジングさんに掲載されました!
新建ハウジングさんに掲載されました!
このたび、住宅業界誌「新建ハウジング」さんに、私が設計デザインに携わった 「佐古木の杜プロジェクト」が紹介されました!
誌面では、愛知県弥富市で地域密着の家づくりを続けている 山敏建築さん の取り組みとして掲載されています。
その中で、私の名前もご紹介いただき、大変光栄に思います。
佐古木の杜プロジェクトとは
「佐古木の杜プロジェクト」は、単なる分譲住宅ではなく、“まちづくり型分譲”を目指した新しい挑戦です。
この土地が持つ歴史や風景、地域のつながりを大切にしながら、一棟一棟が個性を持ちつつも、全体として調和のとれた街並みを目指しました。
私が設計デザインを担当する中で大切にしたのは、「統一と個性」。
建物の素材や仕様には共通性を持たせ、街全体に統一感を生み出しながらも、平屋をベースにそれぞれの形に個性を持たせました。
結果として、5棟の分譲住宅が一つの“街”としてつながりながらも、それぞれに表情のある風景に仕立てました。
「まち」をデザインする
普段は一棟の住宅を中心に設計を行っていますが、今回は「街全体をどう見せるか」「暮らしの風景をどうつくるか」という視点が求められました。
一つのキャンバスに5つの絵を描くような作業で、一つ一つを丁寧に描きながらも、離れて見た時に調和のとれた美しい風景になるよう意識しました。
団地のように同じ家が並ぶのではなく、それぞれの住まいが主張しつつも全体として一体感を持つ。
そんな“新しい分譲のかたち”を形にできたのではないかと思います。
このような貴重な機会をくださった 山敏建築さん に心から感謝いたします。
そして、プロジェクトを通して「家づくり」から一歩広げて「まちづくり」を考えるきっかけをいただきました。
これからも、地域の風景を育てていくような設計を目指していきます。
「空間デザインアワード2025」に応募しました‼
株式会社ウッドワンが主催する「空間デザインアワード2025」に、このたび自分の作品を応募しました。木の魅力を活かした暮らしや空間づくりをテーマとするこのアワードは、建築家やデザイナーをはじめ、住空間に関わる多くの人々が参加し、それぞれの感性やアイデアを発表できる舞台です。
今回の審査委員長は、日本を代表する建築家・伊東豊雄さん。伊東さんは「建築の造形美」だけでなく、「人々の生活やコミュニティにどう寄り添うか」を大切にされており、国際的に高く評価されながらも謙虚で柔らかな語り口が印象的な方です。そのような巨匠の目に自分の作品がどのように映るのか、とても楽しみであると同時に、身の引き締まる思いでもあります。
応募を決めた背景には、これまで建築家として数多くのお施主様の住まいに携わってきた経験、そして活動を始めて10年という節目を迎えたことがありました。これまでの取り組みを一度客観的に評価していただきたい――その想いが今回の挑戦につながっています。
作品をまとめる過程では、設計手法だけでなく、大工として培ってきた技術や知識を改めて振り返ることができました。特に「光と影の在り方」と「木の質感の魅力」が調和する瞬間をどう演出するかに注力し、単なる素材選びにとどまらず、住む人の心に響く体験としての空間を意識しました。
結果はまだわかりませんが、この挑戦そのものが大きな財産です。普段の仕事では発表の場が限られていますが、このアワードを通じて自分の考えを広く知っていただけるきっかけになると感じています。また、他の応募者の作品に触れることで、自分の視野がさらに広がることを期待しています。
木や自然素材と人が共に生きる空間の可能性を探る旅は、これからも続きます。今回の経験から得た学びを糧に、より良いデザイン、そして暮らしに寄り添った空間づくりを目指して歩みを進めていきたいと思います。


